独身男が定年退職となりました

何のビジョンもないまま定年退職を迎えたシングルオヤジの日記です。

「成瀬は天下を取りにいく」(著:宮島未奈)を読んでみた。

こんにちは。昨年6月末で定年退職を迎えた独身男性です。
今回は宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ感想です。

この作品は先週発表された今年の本屋大賞に輝いた本で、今一番ホットな作品かもしれません。著者の宮島未奈さんは、この「成瀬は天下を取りにいく」がデビュー作なのですが、これまで10数個の賞を受賞しています。
超話題の作品なので、既に読んだ方も多いでしょうね。

どんなお話?

この物語の主人公は「成瀬あかり」という中学2年生。とにかくこの成瀬が超個性的なキャラクターなのです。

成績優秀で勉強も運動も校内でトップクラス。それなのに、いや、それだからかもしれませんが、突拍子もないことを次々と言い出し、周囲を困惑させていきます。例えば「二百歳まで生きる」とか「私はしゃぼん玉を極めようと思う」とか・・・。

そして、有言実行タイプの成瀬は行動に移していくのですが、たとえ目標を達成できなくても全く気にしません。なぜなら大きなことを100個言って、1個でもかなえたら「あの人すごい」となるからだそう。
とても中2女子とは思えないスケールの大きさなのです。

この作品は、そんな成瀬を取り巻くさまざまな人達の視点で書かれた連絡短編集となっています。

中学2年の夏休み、例によって成瀬は突然「私はこの夏を西武に捧げようと思う」と言い出します。西武とは地元にある西武デパートのことなのですが、長らく愛されてきたこのデパートが1ヶ月後に閉店することになったため、毎日西武に通って地元テレビの生中継に映り込むというのです。

また、秋になると今度は「私はお笑いの頂点を目指そうと思う」と言い始めます。どうやらミルクボーイの漫才を見て思いついたらしいのですが、たとえ思いつきでも本気で突っ走るのが成瀬のすごいところ。幼なじみを巻き込んで、なんとM-1グランプリに挑戦するのです。

こんな感じで次々と突飛な言動を繰り広げる成瀬の様子が全6編にわたって描かれています。笑えて、楽しめて、ちょっとしんみりするところもある・・・そんなお話です。

感想など

最初は、中学生・女子の物語と聞いて、還暦・おっさんの私としては読むのを躊躇していたのですが、そんなことは全く関係ありませんでした。なんせ、成瀬は性別も年齢も超越してましたから。

男前で、純粋で、孤高の存在のようで、でも人間味があって・・・。成瀬の魅力にグイグイと引き込まれてしまいました。
「である調」の独特な言い回しで話す成瀬は、時にかっこよく、時に滑稽で、魅力たっぷりなのです。

成瀬のように、周りの目など一切気にせず、全然ブレることなく突き進んでいく姿はカッコイイし、そうなりたいと憧れます。でもそんなことができるのは若いうち、若さの特権だよな・・・と思っていたのですが、ふと気が付いてしまいました。

いや、むしろ私のような定年退職した独身の人間こそ、そんな生き方ができるハズではないのかと

会社のしがらみも、家族のしがらみもなく、時間もタップリある。曲がりなりにも60年間生きてきて、今更人目を気にして恥ずかしがってもしょうがない・・・。あとは、成瀬のような度胸と行動力さえあれば、そんな生き方もできるハズ。
ただ、私のような小者はこの「度胸と行動力」が一番のネックなんだよなあ。

成瀬のその後を描いた続編「成瀬は信じた道をいく」も既に発売されていますので、そちらも読んで勇気をもらいたいと思います。

それではまた。

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