こんにちは。6月末で定年退職を迎えた独身男性です。
今回は、青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」を読んでみた感想です。
この本は2021年の本屋大賞で第2位となった作品で、5つの話から成る短編集です。
それぞれの話は、悩みを持った登場人物がとある町のコミュニティハウスにある図書室で本を借りることをきっかけに、色んな気づきをしていくという内容です。
この、悩みを持った人達というのは、
- なんとなく受けた会社に就職するも「なんか違う」とやりがいを感じられない21歳の新人女子社員。
- いつかは自分でアンティークの店を持ちたいという夢があるけれど、具体的な行動に移せない35歳のサラリーマン男性。
- 雑誌社の編集部でやりがいを持って働いていたにもかかわらず、出産・育休を機に他部署に異動となってしまった40歳の女性。
- 漫画が好きでイラストの仕事に就きたかったが、就職に失敗してしまい実家でニート生活を送る30歳の男性。
- 定年退職後、会社とのつながりが途絶えて虚無感を抱き、何をしてよいのかわからず過ごしている65歳の男性。
といった面々です。
そして、コミュニティハウスの図書室で司書をしているのが「小町さゆり」というちょっとクセのある47歳の女性。
この人物は、名前とは裏腹にかなりの巨漢で基本的に無愛想です。ただ、小町さんには人の本音を引き出すような不思議なチカラがあって、訪問者はついつい自分の悩みをしゃべってしまいます。
悩みを聞いた小町さんはお薦めの本をリストアップするのですが、リストの最後に必ず「?」と思うような一見全く関係のない本がなぜか1冊入っています。絵本だったり、図鑑だったり・・・。
そしてさらに「あなたには、これね。」と言って小町さん手作りの羊毛フェルトが付録としてプレゼントされるのです(このブログ上部に貼付していますが、本の表紙に写っているネコ、飛行機、フライパン、カニ、地球儀がそれです)。これも全然意味不明です。
そして、悩める人達はリストの最後の本と羊毛フェルトから何かを感じ取りながら、その後の生活で色々なことに気付いていき、いつしか悩みが晴れていく・・・という物語となっています。
このお話は、小町さんが直接悩みを解決したりアドバイスしたりするものではありません。悩める人達それぞれが自分で色々なことに気付いていくのですが、そのプロセスが丁寧に描かれていて、共感&感動しました。
私の今の境遇からすると、5番目の定年退職者の話がマッチするのですが、真逆の、最初の21歳の新人女子社員のお話が意外とグッときたりしましたね。
あと、5つの話は基本的に別の話なのですが、登場人物などがちょっと重なる部分もあったりしてそれも楽しめました。
とてもオススメの本で青山美智子さんの他の本も読みたくなりましたね。
それではまた。
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